「命なるかな」の思い
「月刊碁学」は、昭和51年から平成元年まで、関西から出版された。
碁を覚えた人は、例外なく碁の魅力にとりつかれる。プロ棋士はその最たる者だが、大多数の人は上達を願いながら果たさずにいる。当時、関西棋院は陽のあたらない場所にいた。社会人としては仏様のようなプロが、黙々と碁を極めようとし、それを囲碁ファンに伝えたいと願った。いわゆる囲碁ジャーナリストが仲介して月刊誌になった。誌名は「碁の学校」から連想された。
雑誌の収支は、碁学社の代表である私の責任だが、はじめから苦しく、年々負担が増した。編集に力を尽くしたが、昭和の終わりに精も根も尽きた。数年後に阪神大震災で、バックナンバーのすべてを失った。
終刊から十数年、今もなお読者から問い合わせがあり、月刊碁学を惜しむを声が寄せられる。編集者冥利に尽きる。
昨年、84歳でパソコンを習いネットの碁を始めた。符節を合わせるように電子出版の企画が寄せられた。「命なるかな」の思いが深い。礼を失する言い方だが、月刊碁学が子供だとすると、このお話は、孫の出立を目を細めて見る感がある。一人でも多くのファンに迎えられ、碁学創刊の志が復活することを願わずにおれない。

(株)碁学社 三木正
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